承認の彼方に 〜言ったの俺だけど〜

社内SEをしていると、時々「理不尽」という名の台風に巻き込まれる。


Episode 1:買えと言ったのは誰?

ある日、上層部からこう言われた。

「これ、いいやん。すぐ買っといて。」

稟議を通し、承認を得て、購入手配。
きちんとプロセスも踏んで、証拠(稟議書)も残っている。

──そして納品日。

「なんやこれ、いらんもん買うなや!」

……え?

「えっと、以前“買ってくれ”って……」

「言ったかもしれんけど、こんなもん使い物にならんやろ。常識で考えろや!」

指示した記憶は消え去り、怒りの矛先だけがこちらに向く。


Episode 2:承認という名のブラックホール

「こちら、承認いただいた稟議です」

と出しても、

「承認って“確認しといて”って意味やろ?いちいち見とらんわそんなもん」

記録はある。
でも、“なかったこと”になる。

理屈も筋も通っていない。
ただその時の「気分」がすべてを支配する世界。


Episode 3:怒りはログへ

もう反論はしない。
メールの文面はより丁寧に、記録はより詳細に、関係者は静かにCCに。

怒りは声にせず、ログへ。
こちらの武器は「感情」ではなく「記録」だ。


理不尽は今日も社内を吹き抜ける。
でも、どんな嵐の中でも、黙々と仕組みを回す人たちがいる。

どこかの誰かが同じことで悩んでいたら、
少しでも「わかる…」と笑ってもらえたら、それでいい。

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