PCの入替対応をしていると、毎回すんなり終わるとは限りません。
データが足りない、いつも使っていたアプリがない、プリンターから正常に印刷できないなど、実際に新しいPCを使い始めてから問題が見つかることもあります。
私自身、複数拠点で合計約200台ほどのPC入替対応を経験してきました。
使用しているPCもすべて同じではなく、営業用・業務用、ノートPC・デスクトップPCが混在し、拠点ごとに利用しているアプリや周辺機器も違います。
その中で感じたのは、
PC入替は、新しいPCをセットアップしてデータをコピーすれば終わりではない
ということです。
今回は、実際のPC入替で困ったトラブルと、約200台対応して感じた「事前に確認しておいた方がいいこと」をまとめます。
- PC入替は利用者側の事前準備もかなり重要
- 1. データ移行漏れ|必要なファイルが思った場所にない
- 2. OneDriveに移しただけでは安心できない|同期状態も確認する
- 3. 利用しているアプリを本人が把握していないことがある
- 4. Outlookに追加しているメールアカウントが分からない
- 5. 銀行系サイトや電子証明書は業務が止まる可能性がある
- 6. 古い業務アプリは設定方法そのものが分からないことがある
- 7. 出荷・印刷系アプリはインストールしただけでは動かないこともある
- 8. 実際にあったトラブル|古いアプリから正常に印刷できない
- 9. 原因不明なら別PCで試して切り分ける
- 10. 予備PCは用意しておいた方がいい
- 11. 辞書登録などユーザー独自の設定は移行漏れしやすい
- 12. ショートカットを移してもPATHが変わると動かない
- 13. ネットワークにつながらない
- 14. プリンターや周辺機器は拠点ごとに違う
- 15. 営業用PCと業務用PCを同じ手順で考えない
- 16. 旧PCはすぐに消去しない方がいい
- 17. BitLockerの回復キーも確認しておく
- 18. 旧PCの廃棄・返却時はデータ消去を確実に行う
- PC入替前に確認しておきたいチェックリスト
- まとめ|PC入替は「普段どう使っているか」の確認が重要
PC入替は利用者側の事前準備もかなり重要
最初に伝えておきたいのが、PC入替は入替担当者だけで完結する作業ではないということです。
セットアップや標準アプリのインストールなどは担当者側で対応できます。
ただ、
- 普段どんなアプリを使っているのか
- どんなWebサイトを業務で使っているのか
- Outlookに追加のメールを設定していないか
- どこに必要なデータが保存されているのか
- 個人的に辞書登録やショートカットを作っていないか
といった部分は、実際に使っている本人にしか分からないこともあります。
「入替してもらえるから全部任せておけば大丈夫」
ではなく、利用者自身にも自分のPC環境を一度確認してもらうことが大切です。
そのため、入替を行う場合は事前に利用者へ、
「データ整理と、普段利用しているアプリやサービスの確認をお願いします」
と協力依頼を出しておいた方が、入替後のトラブルをかなり減らせます。
1. データ移行漏れ|必要なファイルが思った場所にない
PC入替でまず注意したいのがデータ移行です。
実際には、
- デスクトップに置いていたファイル
- ダウンロードフォルダ内のファイル
- ドキュメント以外に保存していたデータ
- アプリ独自の保存データ
- ローカルにしか保存されていないファイル
など、本人も忘れているデータが残っていることがあります。
「必要なものは全部ドキュメントにあります」
と言われても、確認するとデスクトップなどから重要なファイルが出てくることもあります。
PC入替をファイル整理のタイミングにする
個人的には、入替前に利用者へファイル整理をお願いした方がいいと思っています。
何年も使ったPCには、
「いつ使ったのか分からない」
「何のために残しているのか分からない」
というファイルも意外と多いです。
「何かあったときに必要かも」
と思って残しているのかもしれませんが、何年も一度も開いていないのであれば、その「何か」が起きる可能性もそれほど高くないと思います。
もちろん業務上保管が必要なデータは別ですが、不要なデータまで全部新しいPCへ持っていく必要はありません。
データ量を減らしておけばコピー時間も短くなり、入替作業そのものも楽になります。
2. OneDriveに移しただけでは安心できない|同期状態も確認する
会社でOneDriveなどを利用しているのであれば、必要なファイルを事前にクラウド側へ移しておくことで、PC入替時のデータ移行を減らせます。
ただし、
OneDriveへ移動した=移行完了
ではありません。
大量のデータを移した直後などは、まだアップロードが終わっていないことがあります。
同期エラーが発生していれば、新しいPCで同じアカウントにログインしても必要なファイルが出てきません。
旧PCを回収する前に、同期が正常に完了しているかまで確認した方が安心です。
また、せっかく整理するのであれば、何でもOneDriveへ移すのではなく、不要なデータは削除して容量そのものを減らしてもらった方がいいと思います。
3. 利用しているアプリを本人が把握していないことがある
意外と困るのが、特定の担当者や部署だけで使われているアプリです。
会社標準のアプリであればインストール方法が決まっていることが多いですが、
- 特定部署だけで使用しているツール
- 昔から使っている業務アプリ
- PDF関連ツール
- リモート接続用ソフト
- 出荷・印刷用ツール
- 特定の機器を動かすためのソフト
などは見落としやすくなります。
入替後になって、
「いつも使っていたアプリがない」
と言われることもあります。
PC入替前には、利用者自身にも一度スタートメニューやデスクトップを確認してもらい、仕事で使っているアプリを洗い出してもらった方がいいです。
特殊なアプリについては、
- インストーラーがあるか
- 新しいPCでも利用できるか
- ライセンスを再利用できるか
- 旧PC側でライセンス解除が必要か
- 設定ファイルの移行が必要か
まで確認できると安心です。
4. Outlookに追加しているメールアカウントが分からない
実際に困ったことがあるのがOutlookのメール設定です。
会社の標準メールとは別に、
外部サイトや別サービス用のメールアドレスをOutlookで受信している
というケースがありました。
旧PCでは普通にメールを受信できているため、利用者自身も設定をほとんど意識していません。
ところが新しいPCで再設定しようとすると、
「パスワードが分からない」
「受信サーバーが分からない」
「どうやって設定したのか覚えていない」
という状態になることがあります。
POPやIMAPなどで個別に設定している場合、サービスによってはサーバー名やポート番号、認証情報などが必要になります。
PC入替前には、Outlookで会社の標準アカウント以外を受信していないかも確認しておいた方がいいです。
普段問題なく使えているものほど、入替時になって初めて設定情報が分からないことに気付きます。
5. 銀行系サイトや電子証明書は業務が止まる可能性がある
Webサイトも忘れず確認しておきたいところです。
通常のWebサービスであればIDとパスワードでログインできますが、銀行系など一部のサービスではPCに電子証明書を登録して利用している場合があります。
PCを変更すると、
- 証明書の再発行
- 新PCへの登録
- 利用端末の変更手続き
などが必要になるケースがあります。
これを入替後に初めて気付くと、
新しいPCは使えるのに、肝心の業務ができない
ということになります。
特に毎日ではなく、月末など特定のタイミングだけ利用するWebサービスは忘れやすいので注意が必要です。
PC入替前に、業務で利用している重要なWebサービスについても確認してもらうようにしています。
6. 古い業務アプリは設定方法そのものが分からないことがある
複数拠点のPC入替をしていると、かなり昔から使用されている業務アプリに遭遇することがあります。
こうしたアプリでは、
- いつ導入されたのか分からない
- 誰が設定したのか分からない
- 当時の担当者がもういない
- メーカーや保守先が分からない
- 設定資料が残っていない
といったこともあります。
普段動いている間は問題になりません。
PC入替で環境を一から作り直すことになって、初めて問題が表面化します。
「新しいPCに同じアプリを入れれば動くだろう」
と考えず、古いアプリほど事前確認した方がいいです。
7. 出荷・印刷系アプリはインストールしただけでは動かないこともある
特に注意したいのが、印刷に関係するアプリです。
例えば運送会社の送り状やラベルを印刷する出荷ツールなどは、Webサイトからアプリをダウンロードしてインストールできるものもあります。
ただし、インストールしただけで以前と同じ状態になるとは限りません。
アプリによっては、
- 設定ファイルの読み込み
- プリンターの指定
- 用紙設定
- 印刷位置の調整
- アプリ独自の出力設定
などが必要になることがあります。
旧PCでは普通に動いているため、利用者もどんな設定になっているのか把握していないことがあります。
新しいPCになってから、
「印刷位置がおかしい」
「違うプリンターから出てくる」
「そもそも印刷できない」
となることがあります。
出荷業務など、印刷できないと仕事が止まってしまうアプリについては特に事前確認が必要です。
8. 実際にあったトラブル|古いアプリから正常に印刷できない
実際の入替対応でも、古い業務アプリから正常に印刷できないトラブルがありました。
アプリ自体は起動します。
プリンターの設定も確認しました。
それでも正常に印刷できません。
古いアプリの場合、
- アプリ固有の問題
- PC側の設定
- プリンタードライバー
- Windowsとの相性
- アプリ独自の設定
など、原因になりそうなものが複数あり、どこに問題があるのか簡単には分かりません。
しかも古いアプリだったため、詳しい資料もほとんど残っていませんでした。
別のPCで試したら正常に動いた
そこで急遽、別のPCへ同じように設定して試したところ、そちらでは正常に印刷できました。
最終的には、問題が発生していたPCそのものを別のPCへ交換して対応しました。
根本原因までは特定できませんでした。
ただ、その場で原因究明を続けて業務を止めるより、
まず業務を継続できる状態に戻す
ことを優先した結果です。
PC入替では、必ずしもその場ですべての原因を突き止められるとは限りません。
9. 原因不明なら別PCで試して切り分ける
この経験から、原因が分からないときは別PCで試してみるのも有効だと感じています。
例えば、
- 別PCでは正常に動く
- どのPCでも同じ現象が起こる
- 特定のPCだけ動かない
という違いが分かるだけでも、確認する範囲を絞れます。
1台のPCだけを延々と調べ続けるのではなく、別のPCで同じ設定を試してみることで原因の切り分けがしやすくなります。
10. 予備PCは用意しておいた方がいい
約200台規模でPCを入れ替えていると、すべて予定通り動くとは考えない方がいいです。
可能であれば、入替台数ぴったりではなく予備PCを用意しておくことをおすすめします。
予備PCがあると、
- 初期不良
- 原因不明のトラブル
- 別PCでの切り分け
- 急なPC交換
などに対応できます。
特に複数拠点へ出向いて入替をする場合、現地でトラブルが起きてから代替PCを準備するのは大変です。
予備PCは故障時の交換用としてだけでなく、トラブル切り分け用としてもかなり役立ちました。
11. 辞書登録などユーザー独自の設定は移行漏れしやすい
PCを使っている本人しか把握していない設定もあります。
その一つがIMEなどの辞書登録です。
会社名、商品名、専門用語、よく入力する文章などを登録している人もいます。
こうした情報はユーザーごとの領域に保存されていることがあり、通常のデータ移行だけでは新しいPCへ移行できない場合があります。
実際、新しいPCになってから、
「今まで変換できていた言葉が出なくなった」
と言われて気付くこともありました。
辞書を大量に登録している人であれば、入替前にエクスポートなどで移行できるか確認しておいた方がいいです。
同じように、
- アプリ独自の設定
- テンプレート
- ブラウザのお気に入り
- ユーザー独自の設定ファイル
なども確認対象になります。
12. ショートカットを移してもPATHが変わると動かない
デスクトップなどにショートカットをたくさん作っている人もいます。
便利なのでショートカットを作ること自体は問題ありません。
ただ、旧PCのショートカットファイルをそのまま新しいPCへ移しても、必ず使えるとは限りません。
例えば、
- ユーザーフォルダ名が変わった
- 保存先をOneDriveへ変更した
- ネットワークドライブの割り当てが変わった
- アプリのインストール先が変わった
などでPATHが変わると、ショートカットの参照先がなくなります。
見た目は以前と同じショートカットなのに、クリックすると開かないということになります。
ショートカットを大量に利用している場合は、
ショートカットそのものではなく、何を参照しているのか
まで確認しておいた方がいいです。
13. ネットワークにつながらない
新しいPCでネットワークへ接続できないトラブルもあります。
確認する項目としては、
- Wi-Fi
- 有線LAN
- IPアドレス
- DNS
- プロキシ
- VPN
- ネットワークドライバー
などがあります。
大量入替ではDHCPにも注意
一度に大量のPCを入れ替える場合は、DHCPの払い出し範囲にも注意が必要です。
旧PCを残したまま新PCもネットワークへ接続すると、一時的に通常より多くの端末が同時接続されます。
DHCPで利用できるIPアドレス数に余裕がない環境では、IPアドレスを取得できない端末が出てくる可能性があります。
数台の入替では気にならなくても、数十台単位になると確認しておいた方がいいポイントです。
14. プリンターや周辺機器は拠点ごとに違う
PC本体だけを見ていると、周辺機器を見落とすことがあります。
特に複数拠点では、
- ネットワークプリンター
- 複合機
- ラベルプリンター
- スキャナー
- ICカードリーダー
- USB機器
- 外付けドライブ
- その他の業務用機器
など、接続している機器が拠点ごとに異なることがあります。
新PCへ入れ替えてから、
「プリンターがない」
「この機械が使えない」
と気付くこともあります。
PC単体ではなく、
そのPCが普段何とつながっているのか
まで確認することが重要です。
15. 営業用PCと業務用PCを同じ手順で考えない
今回対応したPCは、大きく営業用と業務用に分かれていました。
さらに業務用PCにはノートPCとデスクトップPCが混在しています。
PCの用途が違えば、
- 使用アプリ
- 保存しているデータ
- 周辺機器
- ネットワーク環境
- 必要な設定
も変わります。
そのため、
「PCを200台入れ替える」
と一括りにするのではなく、
用途・拠点・PC種類ごとに分類しておく
ことで作業がかなりしやすくなりました。
台数が多くなればなるほど、1台ずつ個別管理するのは難しくなります。
16. 旧PCはすぐに消去しない方がいい
新しいPCを渡した直後に旧PCを初期化してしまうのは、個人的にはあまりおすすめしません。
新PCを実際に使い始めてから、
「このファイルがない」
「この設定を移行していなかった」
「このアプリを使っていた」
と気付くことがあるからです。
もちろん会社のセキュリティルールが最優先ですが、可能であれば一定期間は旧PCを保管して、新PCで問題なく業務できることを確認してから消去する方が安心です。
17. BitLockerの回復キーも確認しておく
PCの暗号化にBitLockerを利用している環境では、トラブル時に回復キーが必要になることがあります。
私自身、実際に仕事でBitLockerの解除が必要になり、通常使用していたパスワードでは解除できず困ったことがありました。
そのときの確認方法については、別の記事でまとめています。
BitLockerの回復キーが分からないときの確認方法|実際に仕事で困ったケース
PC入替だけでなく、故障やトラブル時にも関係するため、会社側で回復キーをどのように管理しているか確認しておくことも大切です。
18. 旧PCの廃棄・返却時はデータ消去を確実に行う
PC入替は、新しいPCを渡して終わりではありません。
旧PCを廃棄・返却する場合は、保存されているデータの取り扱いにも注意が必要です。
単純にファイルを削除しただけでは、データが完全に消去されたとは限りません。
会社で決められた消去方法や管理ツールがある場合は、その手順に従って処理します。
判断が難しい場合は、専門業者へ依頼する方法もあります。
会社PCには機密情報や個人情報が含まれている可能性があるため、旧PCの処理まで含めてPC入替だと考えた方がいいです。
PC入替前に確認しておきたいチェックリスト
最後に、約200台のPC入替対応を経験して、事前に確認しておいた方がいいと感じた項目をまとめます。
利用者に確認してもらうこと
- 不要なファイルを整理したか
- デスクトップ・ドキュメント・ダウンロードに必要なファイルがないか
- OneDriveなどの同期が完了しているか
- 普段利用しているアプリを確認したか
- 業務で使っているWebサイトを確認したか
- 銀行系サイトなどで電子証明書を利用していないか
- Outlookに追加のメールアカウントを設定していないか
- IMEなどに辞書登録していないか
- 独自に作ったショートカットがないか
- 特殊な周辺機器を使用していないか
入替担当者側で確認すること
- PCの用途と利用拠点
- ノートPCかデスクトップPCか
- 特殊な業務アプリ
- アプリのライセンスや設定ファイル
- プリンター・スキャナーなどの周辺機器
- ネットワーク・VPN
- 大量入替時のDHCP
- 予備PC
- トラブル発生時の代替手段
- 旧PCの保管期間
- 旧PCのデータ消去方法
入替後に確認すること
- 必要なデータがあるか
- OneDriveなどが正常に同期しているか
- 必要なアプリが起動するか
- Outlookで必要なメールを受信できるか
- 業務サイトへアクセスできるか
- 印刷できるか
- 周辺機器を利用できるか
- ショートカットが正常に動作するか
- 利用者が普段通りの業務を行えるか
ここまで確認してから旧PCを消去・返却できると安心です。
まとめ|PC入替は「普段どう使っているか」の確認が重要
PC入替というと、古いPCから新しいPCへデータを移して、必要なアプリをインストールすれば終わりに見えます。
実際に約200台対応してみると、それだけではありませんでした。
Outlookの追加メール、銀行系サイトの電子証明書、辞書登録、ショートカット、古い業務アプリ、特殊な印刷設定など、利用者ごとに異なるものが意外と多くあります。
そして、こういったものは入替担当者だけですべて把握するのは難しいです。
だからこそ、PC入替前には利用者にも、
「普段このPCで何を使っているのか、一度確認してください」
と協力してもらうことが大切だと感じています。
また、どれだけ準備していてもトラブルがゼロになるとは限りません。
原因がすぐに分からないときは別PCで切り分けたり、予備PCへ交換したりして、まず業務を継続できる状態を作ることも重要です。
PC入替を担当することになった方は、今回の内容を事前確認やチェックリストとして参考にしてみてください。

