PCの入替対応をしていると、毎回すんなり終わるとは限りません。
データが足りない、いつも使っていたアプリが動かない、プリンターから印刷できないなど、実際に利用を開始してから問題が見つかることもあります。
私自身、複数拠点で合計約200台ほどのPC入替対応を経験しています。
使用しているPCもすべて同じではなく、大きく営業用と業務用に分かれており、業務用についてはノートPCとデスクトップPCが混在しています。
拠点ごとに利用しているアプリや周辺機器も異なるため、同じPC入替でも毎回同じ手順で終わるわけではありません。
そこで今回は、実際のPC入替対応で起こりやすいトラブルと、対応する中で注意した方がよいと感じたポイントをまとめます。
会社でPC入替を担当する方の参考になれば幸いです。
1. データ移行漏れ
PC入替で特に注意したいのがデータ移行です。
よくあるトラブル
- デスクトップに置いていたファイルが移行されていない
- ダウンロードフォルダ内の必要なファイルを忘れていた
- アプリ独自の保存データが移行されていない
- クラウドに保存されていると思っていたデータが同期されていなかった
「必要なデータは全部ドキュメントにあります」と言われていても、確認するとデスクトップやダウンロードフォルダにも重要なデータが残っていることがあります。
入替前にデータを整理してもらう
できればPC入替の少し前に利用者へ連絡し、
「新しいPCへ移行したいデータを整理しておいてください」
とお願いしておくと作業がかなり楽になります。
入替は不要なデータを整理する良いタイミングでもあります。
何年も使っていないファイルまで全部移行するとデータ量が増え、その分コピーや同期にも時間がかかります。
必要なものと不要なものを整理してもらってから移行すると、作業時間の短縮にもつながります。
2. クラウド同期が終わっていない
OneDriveなどのクラウドサービスを利用している場合、
「クラウドだからデータ移行しなくても大丈夫」
と思ってしまいがちですが、同期状態は必ず確認した方がよいです。
同期エラーが発生していたり、アップロードが完了していなかったりすると、新しいPCでログインしても目的のファイルが出てきません。
特に大量のデータを移動した直後は、同期完了までかなり時間がかかることがあります。
旧PC側で同期が完了していることを確認してから、新しいPCへ切り替えるようにしています。
3. 特定のPCにしか入っていないアプリ
意外と困るのがアプリです。
標準的に会社から配布されているアプリであれば再インストール方法が決まっていることが多いですが、特定の部署や担当者だけが使っているアプリは注意が必要です。
事前に確認したいこと
- 新しいPCで利用できるか
- インストーラーが残っているか
- ライセンスが再利用できるか
- 旧PCでライセンス解除が必要か
- アプリ内の設定データを移行する必要がないか
特に古い業務アプリの場合、新しいPC環境では正常に動作しないことがあります。
PCを入れ替えてから気付くと業務が止まってしまう可能性があるので、特殊なアプリを使用している場合は事前確認が重要です。
4. 古い業務アプリは情報が残っていないことがある
複数拠点のPC入替をしていると、長年使用されている業務アプリに遭遇することがあります。
こうしたアプリでは、
- いつ導入されたのか分からない
- 誰が設定したのか分からない
- 詳しい担当者がすでにいない
- メーカーや保守先が分からない
- 設定方法の資料が残っていない
- そもそもどのような仕組みで動いているのか分からない
といったケースもあります。
普段問題なく動いている間は気になりませんが、PC入替をすると一気に問題が表面化します。
特に古いアプリについては、
「新しいPCにインストールすればそのまま動くだろう」
と考えず、できるだけ事前に動作確認をしておくことをおすすめします。
5. 実際にあったトラブル|古いアプリから正常に印刷できない
実際の入替対応で困ったことの一つが、古い業務アプリからの印刷です。
新しいPCへの入替後、アプリ自体は起動するものの、印刷が正常にできない事象が発生しました。
プリンター側の設定なども確認しましたが、すぐには原因を特定できませんでした。
古いアプリの場合、
- アプリ固有の問題
- PC側の設定
- プリンタードライバー
- OSや環境との相性
- アプリ独自の出力設定
など、どこに原因があるのか判断しにくいことがあります。
さらに、古いアプリほど詳しい担当者がいなかったり、資料が残っていなかったりします。
原因究明を続けても、入替作業そのものが止まってしまいます。
別のPCで試したところ正常に動作
このときは、急遽別のPCから同じように出力できるよう設定して試したところ、正常に印刷することができました。
そこで、問題が発生していたPCそのものを別のPCへ入れ替えて対応しました。
根本的な原因までは特定できませんでしたが、業務を止めないことを優先した対応です。
PC入替では、すべてのトラブルについてその場で原因を完全に特定できるとは限りません。
特に古い業務アプリでは、情報がほとんど残っていないこともあります。
6. 原因不明のときは別PCで試して切り分ける
同じ機種や同じ構成のPCが用意できるのであれば、原因が分からないときに別PCでも同じ現象が起こるか確認してみるのがおすすめです。
例えば、
- 別PCでは正常に動く
- どのPCでも同じ現象が起きる
- 特定のPCだけ動かない
ということが分かるだけでも、原因の切り分けにつながります。
別PCで正常に動くのであれば、アプリそのものやプリンター全体の問題ではなく、そのPC固有の設定や環境に原因がある可能性を考えられます。
反対に、複数のPCで同じ現象が発生するのであれば、アプリや周辺機器側を確認する必要があります。
原因が分からないと一つのPCだけをずっと調べ続けてしまいがちですが、別のPCで試すことで状況が整理できることがあります。
7. 予備PCがあるとかなり助かる
約200台規模で入替を行っていると、すべてのPCが予定通りに動くとは限りません。
そのため、可能であれば入替予定台数ぴったりではなく、予備として使えるPCを用意しておくと安心です。
予備PCがあると、
- 初期不良があった場合
- 原因不明のトラブルが発生した場合
- 別PCで動作確認したい場合
- 急遽PCそのものを交換したい場合
に対応できます。
特に複数拠点を回ってPC入替をする場合、現地で問題が発生してから代替PCを用意するのは大変です。
予備PCは単なる故障時の交換用としてだけでなく、トラブル切り分け用としても役立ちます。
8. アプリの設定が引き継がれない
アプリ自体はインストールできても、
「前のPCと設定が違う」
という問い合わせが出ることがあります。
例えば、
- ショートカット
- アプリの保存先
- ツール固有の設定
- 辞書やテンプレート
- ブラウザのお気に入り
- 特定アプリの設定ファイル
などです。
設定情報がPC内に保存されているアプリの場合、新しいPCにアプリをインストールしただけでは元通りになりません。
普段使用している特殊なソフトやツールがある場合は、データだけでなく設定についても確認しておく必要があります。
9. ネットワークにつながらない
新しいPCでネットワークに接続できないトラブルもあります。
確認する内容としては、
- Wi-Fi設定
- 有線LAN
- IPアドレス
- DNS
- プロキシ
- VPN
- ネットワークドライバー
などがあります。
大量のPCを同時に入れ替える場合はDHCPにも注意
これは一度に大量のPCを入れ替える場合に注意したいポイントです。
旧PCと新PCを同時にネットワークへ接続すると、一時的に普段より多くの端末が接続されることになります。
DHCPで払い出せるIPアドレスの範囲が小さい環境では、IPアドレスが不足して新しいPCがネットワークへ接続できなくなる可能性があります。
数台程度の入替では気にならなくても、数十台単位で入替する場合は事前に確認しておいた方が安心です。
10. プリンターや周辺機器は拠点ごとに違う
PC本体だけを見ていると、プリンターや周辺機器を見落とすことがあります。
特に複数拠点で入替をしていると、拠点ごとに使っている機器が違うことがあります。
例えば、
- ネットワークプリンター
- 複合機
- ラベルプリンター
- スキャナー
- ICカードリーダー
- USB機器
- 外付けドライブ
- 特殊な業務用機器
などです。
新しいPCにした後で、
「プリンターがありません」
「この機器が動きません」
と言われることもあります。
PC本体だけでなく、そのPCが普段何と接続されているかも確認しておくことが重要です。
11. 営業用PCと業務用PCでは確認内容が違う
今回の入替では、PCが大きく営業用と業務用に分かれていました。
営業用PCと業務用PCでは、使用するアプリや周辺機器、データの保存場所が異なる場合があります。
また、業務用についてはノートPCとデスクトップPCが混在しているため、単純に同じ手順書だけで対応するのが難しい場面もあります。
PC入替を計画するときは、
「PCを何台入れ替えるか」
だけではなく、
- どの用途のPCか
- ノートかデスクトップか
- どの拠点で使うか
- 特殊なアプリがあるか
- 特殊な周辺機器があるか
まで分類しておくと、事前準備がしやすくなります。
約200台規模になると、1台ずつ個別に確認するだけでは管理が難しくなるため、用途や拠点ごとに整理しておくことが重要だと感じました。
12. 旧PCをすぐに消去しない
新しいPCを渡した直後に旧PCを初期化してしまうのは、個人的にはおすすめしません。
新しいPCを実際に使い始めてから、
「このファイルがありません」
「この設定を移行するのを忘れていました」
と気付くことがあるためです。
会社のセキュリティルールにもよりますが、可能であれば一定期間は旧PCを保管しておき、新しいPCで問題なく業務ができることを確認してから消去する方が安全です。
もちろん旧PCを保管している間も情報漏洩には注意が必要です。
13. 旧PCを廃棄・返却するときはデータ消去を確実に行う
入替が完了したPCを廃棄・返却する場合は、保存されているデータの取り扱いにも注意が必要です。
単純にファイルを削除しただけでは、データが完全に消去されたとは限りません。
会社で決められた消去方法や管理ツールがある場合は、その手順に従って対応します。
自社で安全な消去方法を判断するのが難しい場合は、専門業者へ依頼する方法もあります。
会社PCには機密情報や個人情報が保存されている可能性があるため、PC入替は新しいPCを渡した時点で終わりではなく、旧PCの処理まで含めて考えた方がよいでしょう。
PC入替前に確認しておきたいチェックリスト
最後に、PC入替をするときに確認しておきたい項目をまとめます。
PCの分類
- 営業用か業務用か
- ノートPCかデスクトップPCか
- 使用拠点
- 特殊な用途がないか
データ
- デスクトップ
- ドキュメント
- ダウンロード
- 必要なローカルファイル
- クラウドの同期状態
アプリ
- 使用している業務アプリ
- 特殊なアプリ
- ライセンス
- 新しいPCでの動作可否
- アプリ固有の設定
- インストール方法
ネットワーク・周辺機器
- 有線LAN・Wi-Fi
- VPN
- プリンター
- スキャナー
- ラベルプリンター
- ICカードリーダー
- USB機器
- その他の業務用周辺機器
入替作業
- 予備PCがあるか
- 別PCで切り分けできるか
- 旧PCをすぐ消去しない運用になっているか
- トラブル発生時の代替手段があるか
入替後
- 必要なデータがあるか
- 業務アプリが起動するか
- ネットワークへ接続できるか
- 印刷できるか
- 周辺機器が使用できるか
- 利用者が通常業務を行えるか
ここまで確認してから旧PCを消去・返却すると安心です。
まとめ
PC入替というと「古いPCから新しいPCへデータを移せば終わり」と思われがちですが、実際にはアプリ、ネットワーク、プリンター、周辺機器、ユーザーごとの設定など確認することはかなりあります。
私自身、複数拠点で約200台のPC入替を経験しましたが、拠点やPCの用途によって発生する問題は異なりました。
特に印象に残っているのが、古い業務アプリから正常に印刷できず、原因も分からなかったケースです。
結果的には別のPCで設定すると正常に動作したため、PCそのものを入れ替えることで業務を継続できました。
この経験から、PC入替では原因を一つずつ調べることも大切ですが、
「別のPCでも試してみる」
「予備PCへ交換してみる」
といった切り分けも非常に重要だと感じています。
古い業務アプリでは、詳しい担当者や資料が残っていないことも珍しくありません。
原因究明に時間をかけすぎて業務を止めるよりも、まず業務を継続できる方法を確保し、その後必要に応じて原因を調べるという判断が必要な場合もあります。
PC入替を担当することになった方は、今回紹介した内容を事前確認やチェックリストとして活用してみてください。

